【検証実験】PhotoShop CC 2018の「書き出し」と「再サンプル」の仕様調査

はじめに

PhotoShopの歴史

2017年現在,最新版の「Photoshop」や「Lightroom」を利用する場合は「Adobe Creative Cloud」を契約する必要があります.私が大学に入学した頃(2013年前後)は,パッケージ版のPhotoshop CS6が販売されていました.その当時はデスクトップパソコンを使っていたので,Windows版のライセンスを購入したのが懐かしいです.

2014年に月額980円の「フォトグラフィプラン」が始まりました.その当時は,非課税でしたが途中から消費税分が上乗せされ月額1000円を超えてしまいました.ただし,DropboxやParallelsも消費税分が追加されるようになったのでAdobeは悪くないと思います.

最大の問題は,2013年にAdobeがアカウント情報を流出させたことです.Adobe社は不正アクセスを受けた被害者ですが,Adobe IDが流出したせいで,海外からの迷惑メールが数千件届いていました.「届いた」でない理由は,Adobeアカウントに登録したのが高校生の時で,登録したメールアドレスを見ていない状況だったからです.クレジットカードを登録し直す際に,流出事件を知り確認すると大量の迷惑メールが届いていました.

今は2段階認証が導入されているので,以前より安全になりました.ベネッセの個人情報流出よりも,リアルに被害を受けたのでこの件は忘れません.

2017年 モバイルファーストが現実に

2017年10月に新たなプランが登場しました.

フォトプラン(1TBストレージ付き)

新しくなったLightroom CC,Lightroom Classic CC,Photoshop CC,ストレージ容量1TB,まとめて月額1,980円(税別)

フォトプラン

新しくなったLightroom CC,Lightroom Classic CC,Photoshop CC,ストレージ容量20GB,まとめて月額980円(税別)

Lightroom CCプラン

新しくなったLightroom CCと1TBのクラウドストレージが使えて,月額980円(税別)

その他のプラン

100GBのオンラインストレージを使えるiOS&Android向けのモバイルプラン月額480円(税別)や,既存ユーザー向けの初年度のみ月額1,480円(税別)キャンペーンなどが開始されました.

AI&モバイルファースト元年

プランが新しくなりましたが,PhotoshopやLightroomに劇的な変化はありません.Lightroom CCがようやく他者のサービスに追いついた感じです.GoogleDrive,OneDrive,iCloud,Dropbox,AmazonDriveなど主要オンラインストレージでは,機械学習や人工知能を使ったサービスが提供されています.Adobe社にも「Adobe Sensei」があり,Lightroomで人物を識別するのは便利でした.

「Lightroom CC」とはオンラインストレージ(ブラウザ)での管理を中心に,パソコンやスマホで編集を行うサービスです.Lightroom Classicがローカルストレージのデータを直接編集する以前からのソフトウェアで,Lightroom CCでは元画像を編集したログをクラウドで管理するオンラインサービスとなりました.

検証内容

問題点

本題に戻ります.「Photoshop CC」になって「Web用に保存」と「書き出し形式」が登場したことで,ユーザーは戸惑いました.「Web用に保存」がパッケージ版に搭載されていた機能で,「書き出し形式」がPhotoshop CCで追加された機能です.1999年の画像処理技術と比べると,2017年の方が優れているのは誰にでも分かります.

プロの写真家やクリエーターの方々は最高画質で納品するので特に関係ないと思いますが,Webサイトやブログを運営するライターにとっては,「画質」と「ファイルサイズ」を最適化が死活問題です.

SEO対策を意識するユーザーは,読み込み速度の高速化を目指しています.読み込みが遅いとユーザーは戻ってしまうので,ユーザーファーストのGoogleは読み込みが遅いサイトの優先度を下げています.その結果,アイキャッチや商品画像を最適化が一般的になりました.

しかしそこには沼が待っていました.Photoshopの書き出し機能の迷走です.「書き出し形式」を利用すると,従来よりファイルサイズを小さくすることができます.ところが,拡大して見てみると「Web用に保存」の場合が高画質のケースが多く,「容量」と「画質」のどちらを選ぶか選択しなければいけません.

現状

「書き出し形式」に移行したユーザーは,自分自身で新たな条件を見つけました.もちろん,「Web用に保存」を使い続けている人もいるはずです.現在はその環境で何とかなってしまいます.一方で,Adobe社は「Web用に保存」をいずれ廃止すると発表しており,最終的には「書き出し形式」に合流することになります.

このような背景があり,「書き出し形式」の仕様を調査することにしました.

具体的な検証内容

ピクセル数や再サンプルの方法を変更しながら,JPEG形式とPNG形式で書き出していきました.今回は「書き出し形式」に固定しております.

実験環境

Photoshop CCで書き出しを行うので,入力データはiOS版のLightroom CCを用意しました.一眼レフのRAWデータでの結果も気になりますが,Adobe社の最新カメラでの結果が1つの基準になると考え,スマートフォンアプリをあえて選びました.

  • Lightroom CC iOS v.3.0.11526A6
  • iPhone 6s Plus
  • Adobe Photoshop バージョン : 19.0 20171103.r.190 2017/11/03: 1143799 x64
  • オペレーティングシステム : Mac OS 10.13.1

【検証1】空のサンプル


金沢工業大学八束穂キャンパスの交差点です.

4032 × 3024 [pix]

JPEG 100

JPEG 80

JPEG 0

PNG 24

PNG 8

2016 × 1512 [pix]

JPEG 100

JPEG 80

JPEG 0

PNG 24

PNG 8

1008 × 756 [pix]

JPEG 100

JPEG 80

JPEG 0

PNG 24

PNG 8

【検証2】赤色のサンプル


八束穂キャンパスにある郵便ポストと公衆電話です.

1008 × 756 [pix]

JPEG 100

JPEG 80

JPEG 0

PNG 24

PNG 8

【検証3】水滴のサンプル


用水路の写真を用意しました.

1008 × 756 [pix]

JPEG 100

【検証4】緑色のサンプル


花の写真を用意しました.

1008 × 756 [pix]

JPEG 100

【検証5】赤色のサンプル


紅葉の写真を用意しました.

1008 × 756 [pix]

JPEG 100

検証結果

バイキュービック

iPhone 6S Plusで撮影したRAWデータのピクセル数を減らすリサイズを行う際,「バイキュービック自動」を選ぶと「バイキュービック法(シャープ)」が適される可能性が示されました.

再サンプリング

「書き出し形式/画像サイズ/再サンプル」でどのアルゴリズムを選んでも,「画像サイズ」が変更されない処理の場合は関係がない可能性が高いです.JPEGの「画質」を変更することでファイルサイズは変化しますが,オリジナルサイズのまま書き出す時は再サンプリングが行われないと考えて問題ないと思います.

今後の展望

他の機種

NikonやCanonのデジタル一眼レフ,iPhone XやAndroidスマホなど,他の機種で撮影したRAWデータでも確かめたいと考えています.

イラスト

アイコンやロゴデータなど,写真データでない場合,結果が変わると考えているので,検証が必要です.

感想

Lightroom CC

iPhoneでRAWデータを簡単に撮ることができるので,初心者向けのアプリだと思います.本格的に撮影される方は,「ProCamera」がオススメです.他にRAWデータを撮影アプリとしては「ProCam」と類似のアプリが公開されています.iPhoneでRAWデータ撮影するには,この3種類のアプルから選ぶことになると思います.個人的には,純正の「カメラ」でRAWデータ保存を行いたいです.普段は無音カメラで撮影し,重要な写真だけ他のアプリを使っています.

2017年9月22日にApple Watch Series 3を購入して,驚いた機能があります.なんと,Apple Watchで純正のカメラアプリを使うと,カメラの映像の確認しながらシャッターを切ることが可能です.つまり,セルフィーの際,インカメラではなくリアカメラを使うことができます.

このようにアプリを使い分けるユーザーは少ないと思います.ライトユーザーであれば,Lightroom CCは誰でも簡単に使えるカメラとしてトップレベルです.集合写真などを撮ってもらうために,他の人に渡すときはこのアプリを使う予定です.左下に過去の写真が表示されないのもオススメポイントです,他人に個人的な写真が見られるのを防ぐことができますね.

Lightroom CCの魅力は,撮影後にあります.撮った写真がオンラインストレージに保存されるので管理が楽々です.簡単な処理であれば,スマホ内で簡潔するのでインスタグラマーやブロガーは助かると思います.実際,今回の5枚は金沢工業大学八束穂キャンパスから扇が丘キャンパスへ移動中,シャトルバスの中で編集したものです.

iPhone X

最近の規格である「HEIF」やデュアルカメラを楽しんでみたいです.iPhone Xが届いたら,カメラ性能のレビュー記事を書くつもりです.

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